ブログ百雑砕

瓦葺き技能士について

瓦葺き職人にも一般の職種と同じく、厚生労働省認可の技能士資格検定があり、内容は小ぶりの模擬屋根を仕上げる実地試験と、瓦全般に関する筆記試験の二項目から成ります。

その中でも実地試験は、実際の瓦葺きにおける各要素が盛り込まれた、非常に良くできた試験内容ですが、模擬屋根を制限時間内に納めるには、事前の練習が欠かせません。

実際の瓦葺き作業では、まず屋根の寸法を測り狂っている部分をどう納めるかと言うところから始まりますが、この模擬試験屋根はプラモデルの様に仕上げると言えば分りやすいでしょうか。
端的に言えば、瓦葺き技能士の資格を取得したければ、このプラモデルの組み立てだけを、何度も何度も練習すれば良いと言う事になります。

そうして得た資格を持つ職人は、瓦職人として造詣が深いのかと言えば、必ずしもそうではないのは言うまでもありません。

さらに、この技能士試験は各自治体によって簡単に取得できる地方と厳しい地方とがあり、制度にバラツキがあるのが現状です。

結局のところ瓦葺き技能士の資格を取ったところで、瓦職人としてただスタート台に立っただけに過ぎないのです。

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あわら市の滝瓦訪問

先日、福井県あわら市に行ってまいりました。

前にブログの中で触れましたが、目的は北前船が運んだ瓦の刻印から歴史的史実が判明した事により、今手掛けている寿都町にある鰊御殿のご当主を郷里にお連れし、寿都町とあわら市の親睦を深め交流する為の表敬訪問です。

メンバーは、寿都町長と教育委員係長、NPO歴史的地域資産研究機構から代表理事と常任理事、鰊御殿ご当主とご令嬢、それと私を含め7名ですが、心に残る大変有意義な旅となりました。

私は歴史ある建物の瓦屋根を次世代に継承する為、長年努力して来ましたが、それがこのような形で派生し新たなる分野で飛躍を見せるのは、正にDreams Come True状態でこれからの展開が楽しみでなりません。

きっと道内に残る瓦たちが私を介して何かを訴えようとしているのではないでしょうか?

そしてそれこそが弊社の存在意義だと思っています。

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ささやかな楽しみ

私はいわゆる音楽アディクトで良質な音楽は分け隔てなく聴きますが、最近までJazz分野にはあまり食指が動きませんでした。

私にしてみれば、Jazzにはクラシック音楽ほどの緻密さや深みは感じられず、かと言ってロックミュージックほどのパッションも感じられず、洒落たバーのBGM程度にしか聴こえなかったのです。

それでもJazz系のCDだけで100枚近く持っていますので、全く聴かないわけではありませんが、基本的にJazzと言うのは聴くよりも演奏する側の音楽だと感じます。

そんな中、たまたまKeith JarrettのParis Concertを聴いて心を鷲掴みにされました。

とくに二曲目のThe Windではピアノを弾いていると言うより、やさしく歌っているかのようで、この人が天才と呼ばれる人種の中の一人である事が分ります。
私にとって、多くのJazzピアニストへの不満な点は、一音一音研ぎ澄まされたクラシックピアニストの持つタッチの欠如にあるのですが、このアルバムでのKeithは素晴らしく、ともすれば緩慢になりがちなクラシック音楽の欠点をJazzyな感性で補い、結果Jazzとクラシックの良いとこ取りになっているように思います。

こうした感動があるからまた、音楽にどっぷりとはまってしまうのですよね。

おっと訳知り顔の君、ケルンを持ち出すのは止めてくれたまえ。
私は音楽や絵画に関して、世間の評価に左右されたりはしないのだから・・・


瓦職人の性(さが)・・・

最近は暑い日が続きますね。

これだけ気温が高いと、屋根の上は灼熱地獄です。
瓦下地のアスファルトルーフィングは熱で溶けて足の裏に張り付いて、歩き難い事ったらありません。
その点、塀の工事はありがたいですよ。
少なくとも屋根の上との温度差3度は違うでしょうから・・・

でもね、瓦屋の性と申しましょうか、やっぱり屋根の上が恋しくなるのですよっ。
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インターネットの功罪

皆さんはユーチューブと言う動画サイトをご存じでしょうか?

先日このサイトを覗いていて腰が抜けるほど驚きました。
なんとそこに20代の自分自身の姿を見つけたからです!
折しもアナログ全盛時代、ちょうど今から30年も前の話ですよ。
当時この映像の存在は知ってはいましたが、ビデオの再生装置は持っておらず、制作関係者(友人ですが)にちらっと見せてもらっただけで忘却の彼方。
まともに観るのは今回が初めてです。
何の下準備もなく、だしぬけに若い頃の自分と対面する事の驚愕たるや如何に・・・
ネット時代だからこその奇跡とも言えるものでしょう。

そう言えば最近、自分が若い頃、某現場で監督だったと言う方から見積もり依頼の電話を頂きました。
こう言うのは大変有難いことですよね。
これからも人との縁を大切にし、末永くお付き合いして頂けるよう、自分自身を鍛錬して行きたいと思います。

いや、それにしてもびっくりしたなぁ~
とりあえずアップしてくれた方に感謝感謝。

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瓦の窯印

今日は瓦の小口に付いている窯印(かまじるし)についてお話します。

焼かれた窯元の刻印、つまりは製造元の証となるものですが、この印を辿れば、北前船で雑多に運ばれてきた多種多様な昔の瓦の故郷を探り当ててあげる事が出来るわけです 。
そうする事により、家人の知られざる家系・ルーツが判明したり、当時のその地域との関わりや背景が明らかにされる等、学術的分野にも有意義に波及します。

北前船の衰退と共に道内に置き去りにされた瓦たち・・・

技術者たちの鍛錬不足が原因で、北海道の風土に瓦が適合しないと誤解されながらも、百年以上人々の生活を守ってきた瓦たちの故郷を知る事。

ほんの些細な自己満足かもしれませんが、私にとってとても大切な事なのです。

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本物の意味

施工してから丸7年、今日は屋根の点検に伺いました。
いや~美しいです!
北海道は洋風住宅が多いので、洋風瓦が映えますね。

7年前ヴァイオリニストの建主様がフェイクではない本物を、と、ご所望され葺いた陶器瓦ですが、釉薬による色合いは今もまったく変わっておりません。瓦表面の色の濃淡も釉薬によるもので、吹き付け塗装ではありませんので半永久的なのです。

瓦形状のトタン屋根もよいですが、それでは飽き足らない本物志向の方、是非ご相談ください!
なんと言っても今の瓦は事実、北海道での実績に裏打ちされているのですから!

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瓦の上を歩いてみよう!

どうも! 幼い子供のはしゃいだ姿をみると、目じりが下がる林です。

この写真は札幌駅地下歩行空間で行われたワークショップの模様です。

道内在住の人々にとって、本物の瓦に触れる機会なんて中々ない事で、まして瓦屋根に上るなんて日常的にまずありえない話で、だからこその企画となりました。

子供たちにとっては忍者のアニメに出てくる屋根なので、とても喜んでもらえましたし、それ以上に大人が楽しんでくれました。
大成功です!

中には瓦に乗ったら割れて危険でしょう、とおっしゃる方がいて、なるほど瓦の事って本当に知られていないんだな、って思いました。
(瓦屋根の上でジャンプしてもそうそう割れたりする事はないのです)

このワークショップが業界の新聞で紹介されると、日本中あちらこちらで同じようなワークショップが開催され好評を博したようです。

って事は、本場でも直接瓦屋根に上る機会はそうそうないという事なのでしょうかね。

機会があればまたやりますこの企画、その際はあなたも童心にかえって是非!!!
※補足ですが男性より女性の方が怖がらずに上るのですね・・・

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瓦が葺かれた塀の話

みなさんもお気づきと思いますが、街を歩いていると頭に瓦がのった塀を目にする事があります。

これらの瓦塀は、風情があると同時に、寺院などでは俗世間と隔絶された荘厳な空間を醸し出すのに一役買ったりと、大変に意味深いものです。

ただし残念な点がひとつだけあります・・・
こうした工事は、家屋の屋根と違って雨仕舞より意匠を優先とする場合が多いので、専門外の業者が見よう見まねで施工をし、その結果とても残念な仕上がりになるケースがある事です。・・・

実のところ塀を納めると言うのは、技術的にとても難易度が高く、人の目線での仕上げですから、施工にはとても神経をすり減らします。

特に塀に瓦を葺くという行為は茶道にも似て、凛とした作法が存在するのです。
そしてその作法に則った屋根は、やはり一味違います。

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紅一点

どうも、近頃なんだか桜の木に目が行くようになった林です。

ちょっと前までこの時期、桜が咲こうがライラックが咲こうが、まったく気が付かずにいたのですが、齢のせいでしょうか・・・

そういえば昨年の4月、私の修行先である石川県寺井町に23年ぶりに訪れた際、廻りの景色に初めて気が付きました。
それは美しい田園の風景で、とおくに連なる山々が見えました。
当時の私は若く、瓦の技術を身に着けるのに必死で、本当に屋根の瓦だけしか見ていなかったのですね。
そのことに気づいた時初めて、私も人並みに一生懸命努力してきたのだ、もっと自分に自信をもって良いのだと感じました。

見渡す限り満開の桜もいいですが、私は緑の中の可憐な一本に魅かれます。

写真は小樽市公会堂の屋根からです。
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