私はいわゆる音楽アディクトで良質な音楽は分け隔てなく聴きますが、最近までJazz分野にはあまり食指が動きませんでした。
私にしてみれば、Jazzにはクラシック音楽ほどの緻密さや深みは感じられず、かと言ってロックミュージックほどのパッションも感じられず、洒落たバーのBGM程度にしか聴こえなかったのです。
それでもJazz系のCDだけで100枚近く持っていますので、全く聴かないわけではありませんが、基本的にJazzと言うのは聴くよりも演奏する側の音楽だと感じます。
そんな中、たまたまKeith JarrettのParis Concertを聴いて心を鷲掴みにされました。
とくに二曲目のThe Windではピアノを弾いていると言うより、やさしく歌っているかのようで、この人が天才と呼ばれる人種の中の一人である事が分ります。
私にとって、多くのJazzピアニストへの不満な点は、一音一音研ぎ澄まされたクラシックピアニストの持つタッチの欠如にあるのですが、このアルバムでのKeithは素晴らしく、ともすれば緩慢になりがちなクラシック音楽の欠点をJazzyな感性で補い、結果Jazzとクラシックの良いとこ取りになっているように思います。
こうした感動があるからまた、音楽にどっぷりとはまってしまうのですよね。
おっと訳知り顔の君、ケルンを持ち出すのは止めてくれたまえ。
私は音楽や絵画に関して、世間の評価に左右されたりはしないのだから・・・