瓦屋根の効能

なんだか温泉の泉質のような表題ですが、私が常々いだいている想いです。

言葉にするとこの様な表現になると思うのですが、瓦を生業とする私が何を言っても無理があるように感じて口に出さずに居りました。

しかし先週の日曜日、さる新聞に掲載された札幌市大通公園の写真を観て、こうゆう事だよなって妙に納得しました。

もちろん瓦屋根の効果なんて微々たるものですが、人間がうまく自然と共存していた時代の重要なファクターとして瓦屋根もりっぱに存在していたのです。

どうですか?

どう見ても昔の街並みの方が心にそっと触れませんか?

現代人が今必要としているのは正にこの感覚なのではないでしょうか。




 

 

 

瓦揚げと配材

先日この画像をFBにアップしたら ”美しい” とコメントを頂きました。
まだ瓦を葺いてある訳ではなく、ただ屋根の上に配材しただけなので正直驚きましたが、機能的なものはシンプルで美しい とよく言われますよね。
そしてその定義に当てはめると、このコメントは実に的を得ていると感じました。

何故ならば、屋根上への瓦の配材はとても良く考えられていて、作業をする上で邪魔にならぬよう機能的に配置する事が求められます。

最近はこうやって第三者に瓦の様々な側面を気づかせてもらうケースが多いなぁ~
あまりに身近にあると、そういったものなのかもしれませんね。

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瓦の焼成温度

瓦の質について語るにも様々な側面からの切り口がありますが、北海道のような寒冷地において一番憂慮されるのは、耐寒性に付いてだと思います。

よく言われるのは焼成温度が高ければ、より高品質だと言う考え方で、吸水率が取りざたされますが、必ずしもそうとは限らないのです。

焼成温度が高いと、俗に瓦があばれると言って微妙に変形した焼き上がりになり、屋根に葺いた時、がたつきが出て美観を損ねるのは勿論のこと、そうした瓦は積雪などの重量に弱く春先に破損する可能性が高くなります。

私は明治期から昭和初期にかけての焼成温度1000℃以下の古い瓦をたくさん視ていますが、凍害を起こさず100年以上現在まで立派に働いている瓦を数多く知っています。
ですから、物の品質と言うものは色々な方向からのバランスが大切で、瓦もご多聞に漏れずと言ったところでしょうか。

結局、北海道に瓦が適合しないとされていたのは施工方法によるところが大きいのは明らかで、四半世紀にわたり道内の瓦と接している弊社だからこそ身に染みてわかる事でもあります。

弊社が培ってきた寒冷地技術を踏まえ、今、札幌を中心に広がりを見せ瓦屋根が増えている事は大変にありがたいことです。

決して平たんな道のりではありませんでしたが、道内の瓦施工のPioneerとしてのプライドをもって、さらに日々精進していくつもりです。

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瓦葺き技能士について

瓦葺き職人にも一般の職種と同じく、厚生労働省認可の技能士資格検定があり、内容は小ぶりの模擬屋根を仕上げる実地試験と、瓦全般に関する筆記試験の二項目から成ります。

その中でも実地試験は、実際の瓦葺きにおける各要素が盛り込まれた、非常に良くできた試験内容ですが、模擬屋根を制限時間内に納めるには、事前の練習が欠かせません。

実際の瓦葺き作業では、まず屋根の寸法を測り狂っている部分をどう納めるかと言うところから始まりますが、この模擬試験屋根はプラモデルの様に仕上げると言えば分りやすいでしょうか。
端的に言えば、瓦葺き技能士の資格を取得したければ、このプラモデルの組み立てだけを、何度も何度も練習すれば良いと言う事になります。

そうして得た資格を持つ職人は、瓦職人として造詣が深いのかと言えば、必ずしもそうではないのは言うまでもありません。

さらに、この技能士試験は各自治体によって簡単に取得できる地方と厳しい地方とがあり、制度にバラツキがあるのが現状です。

結局のところ瓦葺き技能士の資格を取ったところで、瓦職人としてただスタート台に立っただけに過ぎないのです。

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あわら市の滝瓦訪問

先日、福井県あわら市に行ってまいりました。

前にブログの中で触れましたが、目的は北前船が運んだ瓦の刻印から歴史的史実が判明した事により、今手掛けている寿都町にある鰊御殿のご当主を郷里にお連れし、寿都町とあわら市の親睦を深め交流する為の表敬訪問です。

メンバーは、寿都町長と教育委員係長、NPO歴史的地域資産研究機構から代表理事と常任理事、鰊御殿ご当主とご令嬢、それと私を含め7名ですが、心に残る大変有意義な旅となりました。

私は歴史ある建物の瓦屋根を次世代に継承する為、長年努力して来ましたが、それがこのような形で派生し新たなる分野で飛躍を見せるのは、正にDreams Come True状態でこれからの展開が楽しみでなりません。

きっと道内に残る瓦たちが私を介して何かを訴えようとしているのではないでしょうか?

そしてそれこそが弊社の存在意義だと思っています。

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瓦職人の性(さが)・・・

最近は暑い日が続きますね。

これだけ気温が高いと、屋根の上は灼熱地獄です。
瓦下地のアスファルトルーフィングは熱で溶けて足の裏に張り付いて、歩き難い事ったらありません。
その点、塀の工事はありがたいですよ。
少なくとも屋根の上との温度差3度は違うでしょうから・・・

でもね、瓦屋の性と申しましょうか、やっぱり屋根の上が恋しくなるのですよっ。
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瓦の窯印

今日は瓦の小口に付いている窯印(かまじるし)についてお話します。

焼かれた窯元の刻印、つまりは製造元の証となるものですが、この印を辿れば、北前船で雑多に運ばれてきた多種多様な昔の瓦の故郷を探り当ててあげる事が出来るわけです 。
そうする事により、家人の知られざる家系・ルーツが判明したり、当時のその地域との関わりや背景が明らかにされる等、学術的分野にも有意義に波及します。

北前船の衰退と共に道内に置き去りにされた瓦たち・・・

技術者たちの鍛錬不足が原因で、北海道の風土に瓦が適合しないと誤解されながらも、百年以上人々の生活を守ってきた瓦たちの故郷を知る事。

ほんの些細な自己満足かもしれませんが、私にとってとても大切な事なのです。

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本物の意味

施工してから丸7年、今日は屋根の点検に伺いました。
いや~美しいです!
北海道は洋風住宅が多いので、洋風瓦が映えますね。

7年前ヴァイオリニストの建主様がフェイクではない本物を、と、ご所望され葺いた陶器瓦ですが、釉薬による色合いは今もまったく変わっておりません。瓦表面の色の濃淡も釉薬によるもので、吹き付け塗装ではありませんので半永久的なのです。

瓦形状のトタン屋根もよいですが、それでは飽き足らない本物志向の方、是非ご相談ください!
なんと言っても今の瓦は事実、北海道での実績に裏打ちされているのですから!

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瓦が葺かれた塀の話

みなさんもお気づきと思いますが、街を歩いていると頭に瓦がのった塀を目にする事があります。

これらの瓦塀は、風情があると同時に、寺院などでは俗世間と隔絶された荘厳な空間を醸し出すのに一役買ったりと、大変に意味深いものです。

ただし残念な点がひとつだけあります・・・
こうした工事は、家屋の屋根と違って雨仕舞より意匠を優先とする場合が多いので、専門外の業者が見よう見まねで施工をし、その結果とても残念な仕上がりになるケースがある事です。・・・

実のところ塀を納めると言うのは、技術的にとても難易度が高く、人の目線での仕上げですから、施工にはとても神経をすり減らします。

特に塀に瓦を葺くという行為は茶道にも似て、凛とした作法が存在するのです。
そしてその作法に則った屋根は、やはり一味違います。

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瓦の天日干し

みなさん!!
ちょっと見難いかもしれませんがこの写真を観て下さい、昔の札幌白石村にあった瓦工場の風景です。
瓦は粘土を整形しそれを一枚一枚小端立てして天日干しするのですが、この写真はまさにその作業を写し出しています!
いや~北海道でこのような光景を見られるなんて(と言っても100年前の話ですが)すごいです!
今まで知られていなかったのですが、北海道でも瓦を焼いていたのですよ!!
3年前から進めている北海道の瓦ルーツプロジェクトの成果です。

s_tenn(1)
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