瓦の質について語るにも様々な側面からの切り口がありますが、北海道のような寒冷地において一番憂慮されるのは、耐寒性に付いてだと思います。
よく言われるのは焼成温度が高ければ、より高品質だと言う考え方で、吸水率が取りざたされますが、必ずしもそうとは限らないのです。
焼成温度が高いと、俗に瓦があばれると言って微妙に変形した焼き上がりになり、屋根に葺いた時、がたつきが出て美観を損ねるのは勿論のこと、そうした瓦は積雪などの重量に弱く春先に破損する可能性が高くなります。
私は明治期から昭和初期にかけての焼成温度1000℃以下の古い瓦をたくさん視ていますが、凍害を起こさず100年以上現在まで立派に働いている瓦を数多く知っています。
ですから、物の品質と言うものは色々な方向からのバランスが大切で、瓦もご多聞に漏れずと言ったところでしょうか。
結局、北海道に瓦が適合しないとされていたのは施工方法によるところが大きいのは明らかで、四半世紀にわたり道内の瓦と接している弊社だからこそ身に染みてわかる事でもあります。
弊社が培ってきた寒冷地技術を踏まえ、今、札幌を中心に広がりを見せ瓦屋根が増えている事は大変にありがたいことです。
決して平たんな道のりではありませんでしたが、道内の瓦施工のPioneerとしてのプライドをもって、さらに日々精進していくつもりです。
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